ファビエンヌさん&パスカルさん 来日レポート

4月5日~14日に初来日した、キャブレット(ミュゼットバグパイプ)奏者のファビエンヌ・マイユさん。彼女の出身地は、私たちの愛するパリ・ミュゼット音楽のルーツであるフランスの中央山岳地方で、一昨年のラ・ゾーヌのフランス(オーヴェルニュ、アヴェロン)ツアーでは大変お世話になりました。今回の訪日はご友人のパスカルさんとのプライベートな旅とのことで、私たちラ・ゾーヌと仲間たちは今までの感謝の気持ちを込めて、様々な企画を準備しました。

その行程の中から、次にいくつか報告いたします。

●函館への旅

6日~7日、ファビエンヌさんたちとラ・ゾーヌ&サポーターの計10名で、函館に1泊2日の小旅行に出かけました。6日の早朝に車3台で札幌を発ち、中山峠(あげいも初体験)を経由し、洞爺湖を望みながら大沼公園に立ち寄りました。

名物大沼だんごは「セボン!(とても美味しい!)」と、気に入られたご様子。小休止の後、一路函館五稜郭・奉行所へ。風が冷たかったものの晴天に恵まれ、お二人は北海道の歴史に触れる見学と散策、そしてお土産探しを楽しまれました。

夕方、湯の川温泉郷の風情ある純日本風旅館「漁火館」にチェックイン。

夕食は海の幸をふんだんに使った和食コース膳で、色とりどりの惣菜を前にしたファビエンヌさんは、「まるで夢を見ているみたい…」とため息をついていました。

夕食後は、ラ・ゾーヌのヴォーカリスト・赤間らんじゃさん(函館近郊の森町在住)が地元の友人と結成しているユニット「ホットフラッシュ」のライブへ。会場は函館市内の高台にあるcafe en(えん)さん。大きな窓から裏夜景が良く見える素敵なカフェで、たくさんのお客様がいらしていました。

後半、私たちラ・ゾーヌも演奏させて頂いたのですが、何と(!)、この日偶然にもダイナマイトあさの氏がご家族とプライベートで函館に来ており、会場に駆けつけてくれたため、奇跡的にフルメンバーそろっての演奏が叶いました!cafe enさん、ご来場の皆さま、ありがとうございました。

深夜に旅館に戻った後もファビエンヌさんたちは疲れた様子も見せず、露天風呂、寝間着のゆかた、畳に布団を敷いて寝ることetc…すべてが初体験とあって、童心に返って大はしゃぎでした。

翌日チェックアウトを済ませた一行は、一路、八雲町へ。酪農地帯のロケーションがファビエンヌさんの地元とよく似た「ハーべスター八雲」内にあるレストランで、お肉と野菜中心のランチをとりました。函館で魚介類ばかり食べたせいか、ファビエンヌさんは「やっぱりこの景色と土の匂い、お肉の味が安心するワ」と笑っていました。

ランチの後八雲を後にして、短い旅の最後の目的地、白老のポロトコタンへ。施設内でアイヌ民族の伝統芸能を鑑賞したのですが、ここで面白かったのが、アイヌの伝統舞踊の掛け声(ラ~~ホッホホ~~…みたいな)と、ファビエンヌさんたちのフランス山岳地方の伝統舞踊の掛け声がそっくりだったこと!終演後にアイヌ末裔の女性演者の方にそのことを伝えると、その方とファビエンヌさんがいきなり意気投合。二人並んで掛け声をかけ合いハグをして、思わぬ国際交流の場面となりました。

…こうしてタイトなスケジュールをこなし、札幌に着いた頃には夜もとっぷり更けていました。私たち日本勢はファビエンヌさんたちをホテルに送った後、いささかグロッキー気味で各自帰路に着きましたが、後で聞いたところによるとお二人はその後さらに深夜までススキノを散策したとのこと…!そのタフさに脱帽です。やっぱり日本人とは体のつくりが違うのかなあ…。

皆さんお疲れ様でした!

●「春の音楽夜会」

10日、ラ・ゾーヌが実行委員会となって企画いたしました音楽交流パーティー「春の音楽夜会」は予定を上回る80名の入場を頂き、大盛況のうちに無事終了いたしました。

アイリッシュ音楽のRINKAさん、じゃかじゃかジプシーナイトの皆様はじめ、その他多数の有志による演奏が時間いっぱいまで鳴り響き、素晴らしいひとときをご来場の皆様と共につくることができました。

ファビエンヌさんにもキャブレット演奏の披露やダンスでご参加いただきましたが、彼女は何よりも札幌の多数のミュージシャンと触れ合えたことを大変喜んでいました。

ご来場くださったお客様、そして演奏にエントリーしてくださった皆様に、今一度感謝申し上げます。本当にありがとうございました!!

●ラ・ゾーヌの演奏仕事体験

「春の音楽夜会」の翌日の11日の午前、ラ・ゾーヌはファビエンヌさんたちを連れだって札幌グランドホテルへ。この日は某企業様の会食での演奏オファーを頂いていたのですが、せっかくの機会なのでファビエンヌさんにも参加してもらい、本場アヴェロンのダンスをご来場の皆さまにレクチャーして頂こう、という運びになったのです。

この提案にはファビエンヌさんも快諾してくださり、主催の方も大喜び。さながら「お仕事体験プログラム!」ということで、しっかりダンスのレクチャーをこなしてくださり、その後は一曲キャブレットで共演も。会場の皆さまからは大きなアンコールの声が飛び交い、それに応えるべくもう一曲、ぶっつけ本番でアヴェロンの伝統曲を一緒に演奏しました。我々にとっても大変貴重な機会となり、大変嬉しく思います。ファビエンヌさん、関係者の皆様、本当にありがとうございました。

そして無謀にもこの仕事のすぐ後、日本式アミューズメント体験と銘打って、ススキノのROUND1に直行。そこでボウリングを2ゲーム(!)。もはや「疲れた」と言ったら負け!みたいな空気が漂う中、一同は最後の一球まで満面の笑顔で力投いたしました…。

上記以外の日も、小樽散策、北大トレッキング、炉端焼き、岩盤浴体験等々、我々にとっても非常に濃密な日々を共に過ごさせて頂き、あっという間に時は過ぎました。

最後の13日はガンゲット・ダイマにて、ラ・ゾーヌ及びなじみのお客様と「さよならパーティー」を開き、参加者は皆それぞれ一芸(演奏・ダンス・歌…)を披露し、大いに盛り上がりました。

お二人には私たちのフランス語、英語、日本語入り乱れてのつたないコミュニケーションにお付き合い頂き、もっともっとフランス語を予習しておけばよかった…とちょっぴり反省しています。

でも言葉以上に互いの共通語となったのは、やはり音楽でした。一緒に演奏することで、ミュゼットに対する大切な想いを確かに分かち合えたと感じています。

そして近い将来、私達もまた必ずフランスの地を訪れて彼女たちと再会することを、固く約束したのであります。